裁判員制度で裁判員に選ばれる確率は11,000人に一人!

ネットで話題になっている問題について




平成21年5月21日にスタートした「裁判員制度」が今年で10年を経過しました。
当初、話題になっていたけど、もう10年も経ったのかぁ・・というのが正直な感想です。

さて、その「裁判員制度」ですが、あなたの周辺に「裁判員を経験した」という方はどのくらいいますか?私の周辺には一人もいません。
そして、私自身が数年前に裁判員として選ばれた時の体験などを可能な範囲でお話したいと思います。

裁判員ってどうやって選ばれるの?

まず、これが一番気になるところですよね。

最高裁判所の「裁判員制度」のホームページより表を以下に引用します。

①裁判員候補者名簿の作成

この作業は行政がするので、自分が裁判員候補者名簿に選ばれているかどうかもわからない状態です。とにかく、20歳以上の選挙権がある人は誰でも名簿に選ばれる可能性があります。(20歳未満や外国籍の方は名簿に選ばれません。)

②調査票とともに候補者に通知

裁判員制度

11月頃、書類が届いて初めて「裁判員に選ばれた?」と自覚します。
しかし、それは早とちりで、正確にはこの時点ではまだ裁判員に選ばれた訳ではありません。あくまで、「次年の裁判員候補者になりました」という通知です。

例えば、2019年11月に書類が届いたとします。
その場合、「2020年1月から2020年12月までの一年間、裁判員に選ばれる可能性があります」という意味の書類です。

逆に考えれば、11月に書類が届かなかった場合、翌年1年間は裁判員に選ばれる事はありません

その書類の中には調査票が入っており、質問に答えて返信しなければなりません。
質問の内容としては、

  • 就職禁止事由
  • 辞退理由

辞退を希望する場合は上記の理由を記入しなければなりません。

できるだけ辞退したい方は、妊娠中、子育て、介護、入院中、些細な事でも書ける事は書きましょう

この書類を見て、明らかに辞退理由が認められる場合はこの段階で辞退が認められ、この次のステップである裁判所に呼ばれる事はありません。

③事件ごとに名簿の中からくじで選ばれる

事件ごとに裁判員候補者名簿の中からくじで候補者が選ばれます。1事件ごとに約70人の候補者に書類が送付されます。

私は5月頃に書類が届きました

④質問票とともに選任手続き期日のお知らせが届く

この書類が届いたら、いよいよ裁判員に選ばれる確率が高くなります。
再度、前回と同じような内容の質問票が同封されています。
この時、裁判の日程も開示されます

難しい部分として、裁判の日程は決定しているが、裁判員に選ばれるかどうかはギリギリまでわからない為、お仕事の関係上調整が難しい方も多いかもしれません。裁判員に選ばれる可能性が大いにあるので、その裁判の日数分仕事を休まないといけないのか、それとも一日だけでいいのか。

それは裁判所に行って最終のくじで裁判員が決定するまでわかりません。

私の場合、子供が0歳でしたが、保育園に預け始めたばかりでお仕事をお休みしていた為、負担なく参加できました。

⑤選任手続期日

決められた日に裁判所へ行きます。
この日に裁判員候補者が最終決定します。

裁判所へ到着すると、会議室のような部屋に30人分くらいの席が用意されており、決められた番号の席に着席します。
そして今回の担当事件の概要が説明されます。一通り説明が終わった後、質問票に記入していきます。(再度、辞退理由などを記入する。)

担当する事件の内容を確認し、その被疑者と知り合いだった場合なども辞退可能です

次に、5-6人ずつ、実際にこの事件を担当する裁判官(3人)と面接をします。
就職活動のような面接ではなく、意思確認のような面接です。だから、本当に裁判員に選ばれたくない人は、ここで裁判官にアピールするといいです。実際、この面接後、5人くらいの方が辞退されていました。

⑥6人の裁判員を選任

裁判官との面接が終わると、最終くじ引きが始まります。
コンピューターでランダムにくじを引き、選ばれた番号が画面に次々と映し出されます。今回は裁判員6人と補充裁判員2人の合計8人が選ばれました。(くじの方法は各裁判所によって方法は異なるかもしれません)

裁判員と補充裁判員に選ばれた8人は裁判官の前で宣誓をします。

「宣誓。法令に従い公平誠実に職務を行う事を誓います。」

ここで、この日は終了です。
選ばれなかった人は今回の事件の裁判員になりませんが、年末までは違う事件の裁判員に再度選ばれる可能性があります。
選ばれた人は次の日から裁判員として裁判に参加します。

裁判員制度の対象となる事件とは

なんでもかんでも裁判員制度で裁判をするわけではありません。裁判員制度の対象となる事件の規定があります。

法務省サイトより

一定の重大な犯罪であり,代表的な例をあげると,次のようなものがあります。

(1) 人を殺した場合(殺人)
(2) 強盗が人にけがをさせ,あるいは,死亡させた場合(強盗致死傷)
(3) 人にけがをさせ,その結果,死亡させた場合(傷害致死)
(4) ひどく酒に酔った状態で自動車を運転して人をひき,死亡させた場合(危険運転致死)
(5) 人が住んでいる家に放火した場合(現住建造物等放火)
(6) 身の代金を取る目的で,人を誘拐した場合(身の代金目的誘拐)
(7) 子どもに食事を与えず,放置して,死亡させた場合(保護責任者遺棄致死)
(8) 財産上の利益を得る目的で覚せい剤を密輸入した場合(覚せい剤取締法違反)

刑でいうと、「死刑」「無期懲役」になりうる事件が裁判員制度の対象となります。(←このように説明を受けました)

裁判員に選ばれる確率

裁判員制度

裁判員等(裁判員+補充裁判員)に選ばれる確率は全国で1年あたり、全有権者数の11,000人に1人程度(0.01%)です。

しかし、裁判員裁判の対象は重大事件に限られているため、選ばれる確率は、各地裁の管内で発生した凶悪事件などの数に左右されます。朝日新聞社が最高裁のデータをもとに試算したところ、都道府県によって差が大きく、最も確率が高いのは「大阪府」で最も確率が低いのは「秋田県」でした。

裁判員になれない人

裁判員は,司法という国の作用に直接関与し, 非常勤の国家公務員となりますので,国家公務員になる資格のない人や,司法作用に関与すること が相応しくない禁錮以上の刑に処せられたことのある人などは,裁判員になることはできません。また,広く国民の良識を裁判に反映させるとい う裁判員制度の趣旨から法律専門職などが,三権分立への配慮から国会議員などが,従事する職務の特殊性等から自衛官などが,それぞれ裁判員の職務に就くことを禁止されています。

裁判員を辞退できる?

下記に該当する場合は辞退を申し立てる事ができます。

  • 年齢が70歳以上
  • 地方公共団体の議員(会期中のみ適用)
  • 学生(通学する学科に在学する者のみ適用)
  • 5年以内に裁判員または補充裁判員を務めた
  • 3年以内に選任予定裁判員だった
  • 1年以内に裁判員候補者として選任手続きに出頭したことがある
  • 5年以内に検察審査員または補充員だった
  • 重い疾病などにより裁判所に出頭することが難しい
  • 同居している親族の介護または子供の養育をしている
  • 父母の葬式へ出席
  • 社会生活上の重要な用務がある
  • 災害などの被害により生活の再建が必要な場合 など

裁判員または補充裁判員に選ばれたら・・・

日当・交通費等の振込口座の書類を記入

日当の金額は、裁判員候補者は1日あたり8000円以内、裁判員及び補充裁判員は1日あたり1万円以内で、選任手続や審理等の時間に応じて決められます。 裁判所に行って最終くじびきをした日の日当も支払われます。最終くじ引きの日の所要時間は2時間くらいでした。
裁判員に選ばれた人には、裁判が終わって1か月後くらいに登録口座に振り込みされます。

裁判期間中の一日の拘束時間

午前9時半~10時頃集合し、評議⇒裁判⇒昼食⇒評議⇒午後3時頃解散
という流れが多かったです。私の場合、最終日(判決日)だけ早く終わりました。

裁判の日数

裁判員が裁判に参加する日数は5日前後が多いようです。

裁判員裁判の流れ

公判手続|刑事裁判の審理に出席

裁判員裁判

裁判当日、刑事裁判の審理に出席します。審理では、被告人や検察官の話や、証拠などについて見聞きします。

評議

裁判員裁判 評議

審理で見聞きした内容を元に、裁判官や裁判員と議論し判決内容を決めます。具体的には、被告人を有罪とするのか、有罪とした場合の罰則はどうするのかなどです。

裁判の過去の判例などと比べたりしながら、裁判官が丁寧に説明してくれます。

判決宣告

裁判官と裁判員で決めた判決内容を、裁判長が被告人に伝えます。裁判員の任務は、この判決宣言を持って終了となります。

裁判員に参加したら記念品がもらえます

裁判の最終日、記念品のバッヂがもらえますよ!

裁判員裁判を経験した感想

結論から言うと、貴重な経験ができてよかったと思っています。
日頃、ニュースなどで伝えられる裁判の話題などに興味を持って見たり考えたりするようになりました。

正直、裁判員に選ばれた時はマイナスな感情しかありませんでした。しかし、裁判員に選ばれて法廷を事前に見学したり、お昼休憩中に裁判官の方々とプライベートなお話をしたりする事で視野が広がってとても有意義に過ごせました。

他人の罪の重さを決める事は心苦しい事ではありますが、どのように裁判で量刑を決めるのか?などが少しは理解できます。 普通に生活していたら、決して関与する事のない裁判、もしあなたに裁判員の通知が来たら、是非参加する事をおすすめします。

裁判員と死刑制度-日本の刑事司法を考える / シリーズ時代を考える (単行本・ムック) / 伊藤 和子 著 寺中 誠 著