2019年10月7日にノーベル賞各賞の発表がありました。平和賞の発表は11日で、スウェーデンの高校生環境活動家グレタ・トゥンベリさんが筆頭候補に挙げられていましたが、受賞とはなりませんでした。 グレタ・トゥンベリさんは、9月25日に発表されたもう1つのノーベル平和賞とも言われている「ライト・ライブリフッド賞」を受賞しました。
目次
国連気候行動サミットで演説
2019年9月23日にアメリカニューヨークで開幕した国連気候行動サミットで演説したグレタトゥンベリさんが、世界の首脳を前に堂々と批判している姿が印象的でした。
トゥンベリさんの発言の内容とは?
演説では、「世界の首脳たちが温室効果ガス排出問題に取り組まず、自分達の世代を裏切った」と非難し、「よくもそんなことを!」と涙ながらに訴えました。
演説全文
■23日の「気候行動サミット」でのグレタ・トゥンベリさんの演説全文は次の通り。
中国新聞デジタルより引用
私たちはあなたたちを注意深く見ている。それが、私のメッセージだ。
こんなことは、完全に間違いだ。私はここに立っているべきではない。私は海の反対側で学校に戻っているべきだ。それなのにあなたたちは、私たち若者のところに希望を求めてやってくる。(そんなことが)よくもできるものだ。あなたたちは空っぽの言葉で、私の夢と子ども時代を奪い去った。でも私は運が良い方だ。人々は苦しみ、死にかけ、生態系全体が崩壊しかけている。私たちは絶滅に差し掛かっているのに、あなたたちが話すのは金のことと、永遠の経済成長というおとぎ話だけ。何ということだ。
過去30年以上、科学は極めて明瞭であり続けた。必要な政策も解決策もまだ見当たらないのに、目を背け、ここに来て「十分やっている」なんてよくも言えるものだ。あなたたちは私たちの声を聞き、緊急性を理解したと言う。でもどれだけ悲しみと怒りを感じようと、私はそれを信じたくない。なぜなら、もし本当に状況を理解し、それでも座視し続けているとしたなら、あなたたちは悪だからだ。そんなことを信じられない。
10年間で(温室効果ガスの)排出量を半減するというよくある考え方では、(気温上昇を)1・5度に抑えられる可能性が50%しかなく、人類が制御できない不可逆的な連鎖反応を引き起こす恐れがある。
あなたたちは50%で満足かもしれない。でもこの数字は(後戻りできない変化が起こる)転換点のほか、(永久凍土が溶けることなどで温暖化が進む)ほとんどのフィードバック・ループ、有害な大気汚染による温暖化、公平性や気候の正義といった側面を考慮していない。この数字はあなたたちが空気中に出した何千億トンもの二酸化炭素(CO2)を、私たちの世代が、(現時点で)ほとんど存在していない技術で吸収することを当てにしている。だから、50%の危険性は私たちには全く受け入れられない。私たちはその結果と共に生きていかなければならない。
地球の気温上昇を1・5度に抑える確率を67%にするには、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の最善の見立てでは、2018年1月1日時点で世界に残されたCO2排出許容量は4200億トンだった。現在では3500億トンを下回った。よくも従来通りの取り組みと技術的な解決策で何とかなるなんて装うことができたものだ。現状の排出レベルでは、残されたCO2排出許容量に8年半もたたずに達してしまう。
現在、これらの数字に沿って作られた解決策や計画は全くない。なぜなら、これらの数字は都合が悪すぎるからだ。そしてあなたたちはまだ、このようなことを口にできるほど成熟していない。
あなたたちには失望した。しかし若者たちはあなたたちの裏切り行為に気付き始めている。全ての未来世代の目はあなたたちに注がれている。私たちを失望させる選択をすれば、決して許さない。あなたたちを逃がさない。まさに今、ここに私たちは一線を引く。世界は目を覚ましつつある。変化が訪れようとしている。あなたたちが好むと好まざるとにかかわらず。
ありがとう。(ニューヨーク共同)
グレタ・トゥンベリさんってどんな人?
● 氏名 : グレタ・トゥーンベリ Greta Thunberg
● 年齢 : 2013年1月3日生まれ(16歳)
● 出身 : スウェーデン ストックホルム
● 両親 : 母はオペラ歌手のマレーナ・エルンマン、父親は俳優のスヴァンテ・トゥーンベリ
2018年11月、アスペルガー症候群、注意欠陥・多動性障害、強迫性障害、場面緘黙症(ばめんかんもくしょう)と診断された事を公表しています。
経歴や活動内容
● 2018年8月20日
REUTERS ロイターより引用
スウェーデンの現役高校生であるトゥンベリさんは、授業を休んでたったひとり、気候変動への対応を求めるデモを開始。
●2018年8月26日
他の若者もトゥンベリさんに加わり、メディアの注目を集める。
●2018年9月
トゥンベリさんは「未来のための金曜日」運動を開始。毎週1度、学校を休んで抗議デモを行うようになる。
●2018年11月
世界24カ国1万7000人以上もの若者がデモに参加する。
トゥンベリさんはポーランドで行われた国連気候変動会議で発言した。
●2019年2月
抗議デモが世界各地に広がる。
●2019年3月
ノーベル平和賞候補にノミネートされる。
デモに参加する学生の数が200万人を突破した。
●2019年4月
ローマ法王に謁見し、気候問題について語る。
●2019年5月
米タイム誌が「世界で最も影響力のある人」の1人に選出される。
●2019年7月
予定されていたトゥンベリさんの仏議会訪問を巡り、保守系議員がボイコットを呼びかけた。
●2019年8月14日
ニューヨークで行われる国連気候行動サミット出席のため、ヨットで大西洋横断の航海に出航。
●2019年8月28日
トゥンベリさんを乗せた排出ゼロのヨットがニューヨークの港に到着した。
●2019年9月13日
ホワイトハウス前でデモ。
●2019年9月18日
米議会公聴会で証言する。
グレタトゥンベリさんの演説に対する世界の人々の反応は?
演説に肯定的な意見
私は今、一人の人が持つことができる影響をよりよく認識しています。 そして、彼女のために、私はより良い選択をします。 グレタ、 ノーベル賞を手に入れよう!
●グレタトゥンベリちゃんのスピーチ素晴らしい 泣く 地球温暖化についてあらためて真剣に考えようと思う ありがとうグレタトゥンベリちゃん あなたの心の叫びを受け取りました 。
演説に否定的な意見
● 二酸化炭素を出さない世界をって…言うのは簡単…じゃあエネルギーはどうすんの?デモに参加している人たちは二酸化炭素を出さない生活を日々送っているのかな?200年前の暮らしができますか?
この16歳の環境活動家グレタトゥンベリ さんの演説によって世界中で肯定意見や否定意見が出ています。否定意見の中でも多かったのが、グレタさんの背後に大きな組織がいるんじゃないか?という意見です。真相はわかりませんが、これをきっかけに世界中の人々が環境問題について考えるいい機会をグレタさんが与えてくれたのではないでしょうか?グレタさんのような方が活動家としてだけでなく、科学的な事も研究して解決策をどんどん提案していってくれたら賛同してくれる人は今よりずっと増えるでしょう。
毎年受賞者予想を出しているオスロ国際平和研究所(PRIO)のウーダル所長は、「気候変動と(平和賞の伝統的なテーマである)武力紛争の直接の関連性が明確でない」ことからグレタさんを有力候補から除外しています。グレタ・トゥンベリさんのノーベル賞平和賞受賞なるか?
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